東日本大震災が発生して2ヶ月が過ぎ、復旧作業は少しづつ進み始めたようですが、 派遣元のある幹部から次のようなメールが届いているので紹介します。

 「震災直後は、スタッフの安全確認を優先させてすべての仕事をキャンセルしました。その後、契約はあるものの、連絡網の復旧に時間がかかり、クライアント企業との安全面の確認が困難となり、その状態でスタッフを勤務させるわけにいかず、多くの仕事がキャンセルとなりました」、

 「がれきの片付けなどは『危険作業』とみなされるので、派遣対象から外さざるを得ない状態。しかし、がれきが撤去されないと通常の職務に就けないので、仕事再開のめどが立っていません」、

 「がれき撤去は広義の建築現場(解体工事)派遣です。道路をふさいでしまった積み荷等の現場で車を誘導するのも(ネガティブリストの)警備派遣。このように解釈によっては禁止業務に抵触する恐れがあるので、非常時を理由に合法と判断されても仕事選びに慎重にならざるを得ません。結果的に、危ない橋を渡る地元の小さな人材の口利き屋(斡旋会社)が忙しくなっているという構図です」、

 「ただ、中小の(人材)企業には人材を集める力が小さいので、結果的に働きたい人が多くいて、働く場所があるのに、仕事が見つからず働けない状態もあります」――。

 文中、「非常時を理由に合法と判断されても――」とありますが、少し解説が必要です。4月27日の衆院厚生労働委員会で、「被災地のがれき処理に日雇い派遣が活躍しているが、それを否定しようという改正派遣法案は矛盾ではないか?」との質問に対して、細川律夫厚労相が「今は非常時であり、生活のためにどんな手段を講じても仕事を見つけてほしいと考えている」と答弁したことが背景にあります。“文字通り、業務の範囲などの規制にこだわっていては非常時の雇用確保はできない”と意訳してよく、例外的措置であると解釈されます。

 それにしても、派遣法が規制のがんじがらめであり、平時の行政指導や改善命令などが出されそれが報道されたりすると、今回のように、「非常時なので例外だ」と言われても、思い切った手を講じにくい心理が派遣元側に芽生えているのだな、と思った次第。

 法施行以来、間もなく25年を迎えます。今回の大震災を教訓に労働者派遣を前向きに見直して、柔軟かつ機動的な事業にして良いのではないか?

著者プロフィール
三浦 和夫

月刊人材ビジネス 主筆
三浦 和夫

株式会社オピニオン 代表取締役社長。
「人材派遣の活用法」「よくわかる人材ビジネス業界」「派遣社員活用の実際」など、関係書籍多数。

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